さて、前回の事前情報確認の記事を読んでいただいた方は、おぼろげながら日本人がドイツの日系企業に就職することのメリットや強みがご理解いただけたかと思います。今回の記事以降、本格的な応募や面接といった実践的な手法の紹介にうつっていきます。
ドイツ就職虎の巻、第2巻では履歴書や応募書類といった「在独日系企業応募」に関する重要な情報を解説していきます。
この記事を読んでわかること
- ドイツ日系企業への応募方法の種類とそれぞれのメリット
- 応募フォーマットや応募言語の注意点
- 履歴書テンプレートのダウンロード
- 応募の際の必要書類
応募に関する情報
ドイツの日系企業への応募、就職活動の方法はその市場の特異性から複雑化しており、「日本における日系企業への就職活動」とも、「ドイツにおける一般企業への就職活動」とも勝手が異なる点を予め理解しておかなくてはいけません。これら2つの就職活動のちょうど中間的な立ち位置になるため、履歴書のフォーマットや言語、応募書類など経験のない場合分かりにくいポイントが多いのではないでしょうか。
在独日系企業への応募はどこからおこなう?
ドイツにおける一般的な就職活動は、就職系のオンラインポータル、各企業の採用ページからSNS採用まで多様なチャネルを通じて行われますが、在独日系企業への応募はこれまで、その業界の特殊性から、当社のような人材紹介会社を通じた「非公開求人」での応募や、本サイトのようなオンライン求人ポータルを通じた「公開求人」に二分される傾向にあります。
職種や業種、本社の意向などによって当該ポジションの詳細(企業名を含む)がオンライン上に公開されるか否かは分かれますが、基本的に上述のように「人材紹介会社への登録」及び「就職ポータルへの登録」の二つでもってドイツ内の日系企業求人のほとんどは網羅できると言えるでしょう。
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公開求人 |
非公開求人 |
応募姿勢 |
自分から応募する |
ポジションの紹介を待つ |
応募可能な企業数 |
多くの企業を受けることができる |
厳選された企業紹介となる |
応募可能な時期 |
通年での求人が多い |
極めて限定的な求人 |
求人特性 |
求人内容の秘匿性が薄い
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求人内容が企業の中核となる部分に関連する、秘匿性が高い |
主な職種 |
営業アシスタント、一般営業職、経理、総務 |
エンジニア、IT、特殊な市場の営業、管理職 |
履歴書の言語、フォーマットは?
日本の就職活動のように市販されている「履歴書」というフォーマットはドイツには少なく、人によっては職歴や学歴が国内外の経歴を多く含むものとなり複雑なため、個々の背景に適した履歴書の自作が一般的です。国によって文化や仕事に対する考え方の違いなどもあり、以下のように履歴書の持つ特性というのは異なりますが、ドイツの日系企業に応募する場合、基本的には日本式とドイツ式を混ぜ合わせたような形になるでしょう。
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日本式 |
米・英国式 |
ドイツ式 |
時系列 |
古い情報を上から記載 |
新しい情報を上から記載 |
新しい情報を上から記載 |
個人情報(疾病歴、婚姻有無、出身国、宗教等) |
原則記載しない |
原則記載しない |
原則記載しない |
生年月日 |
書く |
書かないことが多い |
双方 |
写真 |
あることが多い(正面) |
無いことが多い |
あることが多い(正面、斜め) |
署名 |
ない |
ない |
ある |
趣味 |
比較的自由 |
仕事に直結する内容を書くことが多い |
仕事に直結する内容を書くことが多い |
また、こうした一般論的な考えにそこまでとらわれすぎないことも重要です。例えば、趣味のように「ドイツの習慣的に、仕事やスキルと直接関係のない内容は書かない」という考え方もありますが、これも法律で定まっているわけではないので、会話の幅を広げるために書くこと自体は問題ありません。応募ポジションに応じて、適切と思われる内容をアレンジしましょう。
在独日系企業で求められる履歴書の言語は、事前に企業から提出を求められていない限り、基本的に写真付きの英文履歴書だけで構いません。日本語の職務経歴書、ドイツ語履歴書は合わせて提出すると直良しです。尚、日本で一般的に使用されている顔写真付きの履歴書はドイツでは不要です。以下のようなテンプレートを使って適宜フレキシブルに作成をおこなう形になります。
優先順位別、履歴書
- 顔写真付き英文履歴書(CV)(必須)
- 日本語職務経歴書(あるとなお良)
- 顔写真付きドイツ語履歴書(Lebenslauf)(あるとなお良)
応募
応募の手順や必要書類に関しては、企業ごとに異なる条件を課しているケースもありますので、ここではあくまでドイツの日系企業において一般的と見なされる方法論を紹介していきたいと思います。
必要書類
大学受験やビザの申請などと違い、就職活動の際に明確に特定の書類の提出を要する、というルールを課している企業はそう多くはありません。上で触れたような「履歴書」は必ず提出が求められますが、その他一般的にドイツの就職シーンで求められるようなカバーレターや卒業証明書などは、在独日系企業であればそこまで厳格に提出を求めてこない傾向にあります(職種や企業次第)。
履歴書以外の書類では、就労する権利を有するか否かの判断に関わってくる「就労ビザ」の重要度が高く、職種によっては(デザイン系の職種で多い)本人の過去のレファレンスの提示を求める会社も存在します。
ドイツ企業であればこの手の証明書は英語またはドイツ語での提出を求められますが、日系企業であれば日本語での提出も可とするところが多く、日本人の応募にとってハードルが低いと言えるでしょう。
応募の手順(人材紹介会社)
人材紹介会社を通じた応募の場合、特定のポジションを紹介される前にリクルーターによる適正判断面接を挟むことが多いと言えます。ここで、応募者の適正にあった職種をリクルーター側が判断し、適したポジションを後日紹介する形になります。
本サイトのような就職ポータルを通じた募集と違って、自分から複数社にアプローチすることができず、リクルーターによる選定を待つ形の就活形態と言えるでしょう。
応募の手順(就職ポータル)
当サイトのような就職ポータルを通じての公開求人広告への応募の場合、受け身ではなく、求人広告を閲覧し、興味の湧いた職種を見極めてから応募するという方法が可能です。
興味のある求人広告があれば、「応募する」を選択し応募に必要な書類などを確認のうえ、応募する形になります。書類選考を通過すれば、採用面接の通知がメールまたは電話を通じて応募者におこなわれることとなり、面接をクリアすれば晴れて内定を得ることとなります。
書類選考の合格率は職種によりけりですが、最もドイツ在住日本人応募者に人気の高い営業アシスタント職種では、書類選考後に面接に呼ばれる確率が15~30%程度と言われています。応募自体は無料で可能なため、積極的に複数の企業に申し込んでいくやり方がおススメです。