即戦力の営業かどうかを見極めるポイント3選と質問例

海外法人において優秀な営業社員チームを抱えることは、現地マーケットにおける成功を語るうえで避けて通れない、まさに至上命題と言えるでしょう。それ故に、その供給源を担う「採用面接」における優秀な営業社員の見極めも、企業の業績や経営状態の浮沈に遠からず結びついていることを理解する必要があります。

今回の記事では、1999年の創業以来、長年営業社員を斡旋し続けてきた当社の経験に基づき、優秀な営業社員を見極めるための採用面接におけるポイントを解説いたします。

そもそも優秀な社員の見極めとは?

本題に入る前に、海外法人における「優秀な社員」の定義について簡単なすり合わせをおこないましょう。

日本における人事採用や営業チームの組織化において成功を収めていた企業(あるいは営業社員)が、海外(例えばドイツ)に進出した途端、その土地で機能不全に陥ってしまうケースは少なくありません。この現象には以下のような理由が挙げられます:

  • 日本とは必要とされるハードスキルが異なる(特に言語能力等)
  • 日本とは必要とされる文化が異なる(営業方法、訪問の挨拶等)
  • 日本とは必要とされる知識が異なる(商慣習や制度等)

特にドイツ市場では、その文化や法制度の違いから、今まで日本で培ってきた方法論や成功体験がその延長線で通用することがありません。それゆえ、過去日本で営業としてどれだけ成功を収めてきたか、という点だけでなく、それらに固執せず、過去の実績を元にいかにして現地風にアレンジして再現性を持たせることが可能か、という技能に採用面接時に着目する必要があります。

優秀な営業社員を見極めるポイント3選

この、営業として日本だけでなく、ドイツ市場でも一貫して成功できるかの見極めをおこなうためには、やや一ひねりした着目点と、質問内容が必要となります。

  • 話が簡潔にまとめられているか
  • 機転が利くか
  • 根拠ある説明ができるか

これらのスキルは、日本、ドイツというコンテキストなしに応用の効くスキルであり、かつ異なる市場での成功に再現性を持たせるための大きな要因として機能しがちです。

話が簡潔にまとめられているか

求職者の話が簡潔にまとめられているかどうか、は将来のパフォーマンスを占ううえで重要な判断材料となりえることでしょう。国や文化に関わらず、冗長な説明は好まれず、結局長い時間をかけて訪問し、なしのつぶてで帰社する、という帰結に繋がってしまいます。

このスキルを判断する簡単な方法は「時間を設定して自己紹介してもらう」といったやり方です。具体的には以下のような形です:

  • 現職(あるいは前職)について3分程度で完結に説明してください
  • 過去の経歴について3分で説明してください

より実践的なスキルを探りたい場合、「現職の営業内容について私にプレゼンしてください」といった質問内容も面白いでしょう。

機転が利くか

機転・当意即妙な受け答えは、一見すると先天的な知能指数に起因する用にも捉えられがちですが、実際には経験に裏打ちされた確固たる後天スキルであることが少なくありません。過去に踏んできた場数や、失敗経験の数などが、そのまま現場における想像力や機転力に直結すると言えるでしょう。その意味で、「機転が利くか」は万国共通で営業社員に求められる重要な資質の一つとなります。

この「機転が利くか」どうかを判断するためには、明確な正確のない以下のようなケーススタディをもって試金石とすると分かりやすいでしょう。

  • 重要クライアントから値下げを要求されましたが、会社は値下げを承認しません。あなたならどうやってこの状況を打開しますか?
  • クライアントに向けたコンテナが港で出航間近だが、クライアントからの着金がまだ確認できない。着金を来週まで待っていると出航に間に合わないが、未着金のまま出向させると未回収リスクが生じる。どうすればよいか?

具体的な判断の求められる質問とそれへの回答内容によって、求職者に能動的な思考力があるか、それとも単なるメッセージの伝達しかおこなえないかの見極めができると言えるでしょう。

根拠ある説明ができるか

明確なストラテジーをもって営業活動を行っている人は、自分の営業手法や成約プロセスの説明ができます。こうして理論化された方法論は再現性が高く、文化的背景の異なるビジネス環境でもトライ&エラーを通じて自身のやり方を現地に適合させていくことが可能です。「現象の理論化」と言い換えることもできるでしょう。

こうした適性を探るには、「現職(前職)での売り上げ目標と、その数字を達成するまでのプロセスを教えてください」といった質問内容が適切といえます。一つの成功の流れの中で、どのように考え、失敗し、失敗を乗り越えたか、など詳細を説明してもらうことで、過去の成功が「偶然の産物」であったのか、確固たる理念に基づいて行われた再現性の高い取り組みだったのか、が読み取れます。

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